こんにちは。社結び、運営者の友護です。
京都観光の定番スポットといえば、多くの方が八坂神社を思い浮かべるんじゃないでしょうか。四条通の突き当りに見える朱色の西楼門は、本当に美しいですよね。私も大好きな風景の一つです。
ただ、多くの方が訪れる一方で、「八坂神社って、結局のところ何の神様なの?」と疑問に思うこと、ありませんか?
厄除けがとても有名なのは知っているけれど、境内を歩くと縁結びや美容と書かれたお社もあって、ご利益が一体どれなのか迷ってしまうかもしれません。また、祇園さんという愛称で親しまれていますが、なぜそう呼ばれるのか、その歴史や牛頭天王との関係についても気になるところですよね。
この記事では、そんな「八坂神社は何の神様?」という疑問に答えるため、本殿に祀られている神様から、目的別の境内のお社、そして強力な厄除け信仰の背景まで、わかりやすく解説していきたいと思います。
この記事のポイント
- 八坂神社の中心となる本殿の神様たち
- 最強の厄除けと呼ばれる歴史的な理由
- 美容や縁結びなど目的別の境内ガイド
- 知っておくと面白い神様同士のつながり
八坂神社は何の神様? 本殿の神々と厄除けの理由

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「八坂神社は何の神様?」という疑問への答えは、まず素戔嗚尊(スサノオノミコト)ですね 。
八坂神社はスサノオノミコトを祀る全国の関連神社の総本社なんです。しかし、八坂神社が祇園さんと呼ばれ 、古来より最強の厄除け・疫病退散の神様として信仰されてきた背景には、さらに深い理由があります。それは、神仏習合の時代に祀られていた牛頭天王(ごずてんのう)という疫病を司る神様の存在です 。
日本三大祭りの一つ祇園祭も、もともとは疫病の流行を鎮めるための儀式(御霊会)でしたから。前半では、なぜ八坂神社の厄除けが強力なのか、その本質である牛頭天王とスサノオノミコトの関係や、蘇民将来(そみんしょうらい)の伝説 、そしてスサノオの強力な側面である荒魂(あらみたま)を祀る悪王子社 まで、その信仰の核心に迫ってみたいと思います。
主祭神は素戔嗚尊(スサノオノミコト)

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八坂神社の信仰の中心は、なんといっても本殿ですよね。現在の建物は承応3年(1654年)に再建されたものだそうですが、国宝にも指定されている 、本当に荘厳な建物です。
この本殿、実は建築様式がとても珍しくて、祇園造(ぎおんづくり)と呼ばれています。一般的な神社建築だと、参拝者がお参りする拝殿(はいでん)と、神様がおられる本殿(ほんでん)は、別々の建物になっていることが多いんです。
でも、この祇園造は、その拝殿と本殿が、一つの大きな檜皮葺(ひわだぶき)の屋根の下に収まっているという、とてもユニークな構造なんですね。そして、複数の神様を一つのお社(本殿)に一緒にお祀りする「一宇相殿(いちうあいどの)」という形式をとっています。
本殿の中には3つの御座(みくら)、つまり神様のお部屋があり、それぞれ以下の神様が祀られています。
【中央・中御座】素戔嗚尊(スサノオノミコト)
八坂神社の主祭神です 。日本神話に登場する、とても有名な神様ですよね。高天原(たかまがはら)を追放されたり、出雲の国で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治したりと 、非常に荒々しくもパワフルなエピソードを持っています。
その、八岐大蛇という巨大な災厄を退治したという神話から、「厄除け」や「災難除け」「病気平癒」 といった、私たちに降りかかるあらゆる災いを祓ってくださる神様として、篤く信仰されています。
【東御座】櫛稲田姫命(クシナダヒメノミコト)
スサノオノミコトが八岐大蛇の生贄にされそうだったところを救い出し、妃(奥さん)として迎えた女神様です。この劇的な出会いと結婚の神話から、お二人の強い絆の象徴として、「縁結び」や「夫婦和合」 のご利益があるとされています。
また、スサノオノミコトとの間に多くのお子様をもうけたことから「安産」の神様としても信仰されています。さらに「稲田(いなだ)」というお名前の通り、「稲作守護」 の神徳もお持ちなんですよ。
【西御座】八柱御子神(ヤハシラノミコガミ)
こちらは、スサノオノミコトと櫛稲田姫命の間に生まれた8柱のお子様たちです 。具体的なお名前は文献によっても異なるそうですが、八坂神社では総称して「八柱御子神」としてお祀りしています。
「八」という数字は、古来から「多い・無限」といった意味を持つ縁起の良い数字。まさにその名の通り、「家内安全」や「子孫繁栄」のご利益を授けてくださる神様たちです。
こうして見ると、すごい発見がありませんか?
そうなんです。八坂神社の本殿は、スサノオノミコトという「個人」だけでなく、「スサノオノミコト・ファミリー(夫・妻・子どもたち)」を一つの大きなお社に祀っているんです。
だから、本殿に一度参拝するだけで、厄除け(お父さん)から縁結び・安産(お母さん)、そして家内安全(お子様たち)まで、家族や人生に関する幅広いご利益 をまとめてお願いすることができる、ということなんですね。八坂神社が持つご利益の総合力の源泉が、この本殿にあるんだなと、私は思います。
なぜ厄除け? 牛頭天王と祇園祭の歴史
八坂神社のご利益といえば、やはりなんといっても強力な厄除けですよね。でも、なぜ「祇園さん」がこれほどまでに厄除け・疫病退散の神様として信仰されているんでしょうか。
それには、明治時代よりも前の神社の歴史が深く関係しています。八坂神社は、慶応4年(1868年)まで、昔は「祇園社」や「祇園感神院」と呼ばれていました 。
神道と仏教が一緒になっていた神仏習合の時代、祇園社で主祭神として祀られていたのは牛頭天王(ごずてんのう)という神様でした 。
牛頭天王は、古代インドの祇園精舎(お釈迦様が説法を行った寺院)の守護神ともされ 、非常に強力な力で疫病を流行らせることも、鎮めることもできると信じられ、京の人々に畏れ敬われていた存在だったんです 。
平安時代の京都は、疫病の大流行に何度も苦しめられました。人々はそれを非業の死を遂げた人々の怨霊(御霊)の仕業だと考え、その怨霊を鎮めるために「御霊会(ごりょうえ)」という儀式を行いました 。
メモ
あの世界的に有名な「祇園祭」は、まさにこの疫病退散を願う御霊会が起源なんです 。
その始まりは貞観11年(869年)、国内で疫病が流行した際に、当時の国の数である66本の矛を立て、神泉苑に神輿を送って厄災の除去を願ったこととされています 。 (出典:八坂神社公式サイト「八坂神社の歴史」)
八坂神社の信仰は、常に「都を疫病から守る」という京都の人々の強い願いと共にあったんですね。
やがて、この荒々しく強力な力を持つ牛頭天王は、日本神話で高天原を追放された荒ぶる神・スサノオノミコトと、その性質が似ていることから「同じ神様」とみなされるようになりました(本地垂迹説) 。
そして明治時代の神仏分離令によって、「牛頭天王」という仏教的な名前は公に使われなくなり、正式に日本神話の神である「素戔嗚尊」が祭神として定められた 、という歴史があるんです。
私たちが「祇園さん」に厄除けをお願いするとき、それはスサノオノミコトの力だけでなく、1000年以上にわたって京都の疫病と戦い、人々を守ってきた牛頭天王の強力な側面にも祈りを捧げている、ということなのかもしれませんね。
疫神社と蘇民将来の伝説とは?

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八坂神社の「厄除け」信仰の核心とも言えるお話をもう一つ。境内にある「疫神社(えきじんじゃ)」 の存在です。南楼門(正門)のすぐそばにある小さなお社なので、見落としがちかもしれませんが、ここはとても重要な場所なんですよ 。
ご祭神は「蘇民将来命(そみんしょうらいのみこと)」 。
この神様には、次のような「蘇民将来の伝説」が伝わっています 。
蘇民将来の伝説(概要)
旅の途中だった素戔嗚尊(古い伝承では牛頭天王)が、ある村で宿を求めました。
裕福だった弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は冷たく断りましたが、貧しい兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は、けして豊かではないにもかかわらず、粟(あわ)の食事で手厚くもてなしました。
スサノオノミコトはこれを大変喜ばれ、「今後もし疫病が流行っても、『蘇民将来の子孫なり』と言い、茅(ち)の輪をつけていれば、その災厄から免れさせる」と約束したそうです 。
この伝説こそが、牛頭天王とスサノオノミコトを結びつける重要な物語であり、祇園信仰の根幹となっています。
祇園祭で授与される厄除けの「ちまき」(食べ物ではなく、玄関先に飾るお守りですね)や、夏越(なごし)の祓(はらえ)で行われる「茅の輪くぐり」 は、すべてこの蘇民将来の伝説に由来しているんですね。
疫神社は、まさに八坂神社の疫病退散 のご利益の原点とも言える場所なんです。
強力な災難除けの悪王子社

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もう一つ、特に強力な厄除け・災難除けのご利益を求めている方にご紹介したいのが「悪王子社(あくおうじしゃ)」です 。
「悪」という名前がついているので、「えっ?」とちょっとドキッとしてしまいますよね。でも、安心してください。これは現代語の「悪い(Evil)」という意味ではまったくないんです。
ここでの「悪」とは、「力が強い」「強力である(Powerful)」という意味の古語なんですよ 。
では、何の神様の強力な側面かというと、なんと本殿の主祭神である素戔嗚尊(スサノオノミコト)の「荒魂(あらみたま)」なんです 。
メモ
日本の神様には、穏やかで恵みを与える「和魂(にぎみたま)」と、荒々しく強力なパワーを発揮する「荒魂(あらみたま)」の二つの側面があると考えられています。
本殿がスサノオノミコト・ファミリーの「和魂」として、家内安全など幅広く守ってくれるのに対し、この悪王子社は、スサノオノミコトの「荒魂」に、ピンポイントで強力な厄除けや諸願成就をお願いする場所、という感じかなと思います。
このお社は、もともとは別の場所にあったそうですが、明治時代に八坂神社の境内に遷された歴史があります 。どうしても叶えたい強い願いがある時や、強力な災難除け を願う時に、ぜひ参拝したいお社ですね。
八坂神社は何の神様? 境内社のご利益一覧

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「八坂神社は何の神様?」という問いの答えは、主祭神スサノオノミコトの厄除けだけじゃないんです 。八坂神社は、境内(けいだい)に数多くの「摂社・末社(せっしゃ・まっしゃ)」 を擁していて、人生のあらゆる願い事に応えてくれる、まさにご利益のデパートのような場所なんですよ。
特に女性や観光客の方から絶大な人気を誇るのが、美の神様を祀り「美容水」が湧き出る「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」 や、神話「因幡の白兎」で知られる縁結びの神様「大国主社(おおくにぬししゃ)」 です。
さらに、「祇園のえべっさん」として親しまれる商売繁盛の「北向蛭子社(きたむきえびすしゃ)」 、芸能上達の「太田社」 など、専門分野の神様が勢揃いしています。
後半では、あなたの願い事に最適な神様が見つかるよう、目的別にご利益をガイドしていきますね。
美容のご利益なら美御前社

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八坂神社の境内で、特に女性から絶大な人気を集めているお社といえば、本殿の東側にある「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」ですよね 。もう、名前からして「美しくなれそう!」という期待感が高まります!
ここは、京都でも有数の「美のパワースポット」として知られていて、ご利益を求めて多くの参拝者が訪れる場所なんです。
美の女神・宗像三女神(むなかたさんじょしん)
ここに祀られているのは、容姿端麗であったと伝わる三柱の女神様、「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」です 。
- 多岐理比売命(たぎりびめのみこと)
- 多岐津比売命(たぎつひめのみこと)
- 市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)
この三女神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)の誓約(うけい)によってお生まれになった、とても高貴な神様たちです。
特に三女の市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)は、七福神の紅一点「弁財天(べんざいてん)」と同一視されることも多い 、「美」と「芸能」と「財福」を司る女神様として、古くから深く信仰されています 。
プロも通う美容のパワースポット
ご祭神がこのような美の女神様たちなので、ご利益はズバリ「美容祈願」 や「芸能上達」 。
美の聖地・祇園という土地柄、舞妓さんや芸妓さんをはじめ、美容・化粧品関係者、理容美容業界で働く方々からの信仰もとっても篤いお社だそうです 。
それを象徴するように、毎年11月の第3月曜日には「美御前社理容美容感謝祭」というお祭りも執り行われ、業界関係者の方々が参列されるそうです 。プロの方々もお参りに来るなんて、ご利益への期待がますます高まってしまいますね!
ご神水「美容水」で身も心も美しく

そして、美御前社に参拝したら絶対に外せないのが、社殿の前に湧き出ているご神水、「美容水」です 。
このご神水は、「身も心も美しく磨かれる」と言われていて、いつも参拝者で賑わっています 。
使い方は、まず美御前社にしっかりお参りした後、手のひらでこの美容水を受けて、お肌に2〜3滴ほど優しくつけると良いとされています 。
私も京都に行くと必ず立ち寄って、お肌につけていただいています(笑)。ひんやりとして、なんだか心まで清められるような気分になるんですよ。
注意ポイント
一つだけ、とても大事な注意点があります。この「美容水」は、飲料水ではありません 。飲むことはできませんので、必ずお肌につけるだけにして、ルールを守ってありがたくいただきましょうね。
美を願うお守りや授与品も
参拝の記念、そして更なるご利益を願って、美に関する授与品をいただくのもおすすめです。
メモ
- 美守(うつくしまもり):身も心も美しくあるように祈願された、人気のお守りです(初穂料1,000円)。
- 京都・祇園の美しさん(あぶらとり紙):美の神様に因んで奉製された、美人肌のためのあぶらとり紙です(初穂料400円)。お土産にも喜ばれそうですよね。
※初穂料は変更される可能性もありますので、現地でご確認ください。
美御前社は、外見の美しさだけでなく、内面からの美しさ、心の美しさも磨いてくださるような、素敵な場所だなといつも感じます。身も心も美しくありたいと願う方には、ぜひ訪れてほしいパワースポットですね。
縁結びを願う大国主社
「八坂神社は厄除けの神様」というイメージが強いので「八坂神社で縁結び?」と思う方も意外に多いのではないでしょうか 。本殿の厄除けのご利益と並んで、実は境内には京都でも有数の強力な縁結びのパワースポットがあるんです。
それが、本殿の西側にある「大国主社(おおくにぬししゃ)」です 。ここはいつも良縁を願う多くの参拝者で賑わっていて、特に女性に人気のスポットなんですよ。
ご祭神は縁結びのスペシャリスト「大国主神」
ご祭神は、その名の通り「大国主神(おおくにぬしのかみ)」 。出雲大社のご祭神としてもあまりにも有名ですよね。地元では「大国さん」として親しまれています 。
大国主神といえば、日本神話「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」のエピソードが有名です。ワニ(サメ)を騙して皮を剥がれて苦しんでいた白兎を、大国主神がその優しい心で助けます。
その優しい心が、結果として美しい八上姫(やがみひめ)とのご縁を結んだとされる神話から 、まさに「縁結びのスペシャリスト」として、全国で篤く信仰されている神様なんです。
そのため、ご利益はズバリ「縁結び」「良縁成就」 。素敵な出会いを求めている方はもちろん、「復縁」を願う方も多く訪れるお社だそうです 。
参拝のポイント①「願掛けうさぎ」で良縁祈願
大国主社で縁結びを願うなら、ぜひ奉納したいのが「願掛けうさぎ」です 。白くて丸い、うさぎの形をしたとても可愛らしいお守りなんですよ。
この「願掛けうさぎ」には、縁結びをはじめ、心から実現したいと思っていることをうさぎと共に祈願するという意味が込められています 。奉納の手順は以下の通りです。
- まず、社務所(授与所)で「願掛けうさぎ」をいただきます(初穂料800円)。
- うさぎの本体に、自分の名前(氏名)をペンで書き込みます 。
- セットになっている専用の「願い紙」に、自分の願い事を具体的に書きます 。
- 願い紙をうさぎの中にそっと収めて、シールで封をします 。
- 願いを込めたうさぎを持って、大国主社でしっかりとお参りし、ご祈願ください 。
- お参りが済んだら、大国主社の前にある祈願所(奉納場所)に、うさぎを奉納します 。
※初穂料は変更される可能性もありますので、現地でご確認ください。
たくさんの願いが込められたうさぎたちがズラッと並んでいる姿は、とても可愛らしく、そして皆さんの真剣な思いが伝わってきて、なんだかこちらまで応援したくなるような気持ちになります。
参拝のポイント② ハート型の絵馬と白うさぎの石像
大国主社の脇には、「願掛けうさぎ」のほかにも、良縁を祈願するハート型の絵馬がたくさん結ばれています 。ピンク色のハート型で、見ているだけでも幸せな気分になれそうですよね(初穂料1,000円)。
また、お社の鳥居のすぐ右側には、神話「因幡の白兎」をモチーフにした、大国主神と白うさぎの石像があります 。大国主神が白うさぎを優しく見守る姿は、まさに「縁結び」のご利益の原点を感じさせてくれます。ぜひここで記念撮影をするのも良いかもしれませんね。
スサノオノミコトとの神様のつながり
ところで、「なぜスサノオノミコトの八坂神社に、大国主神がいるんだろう?」と不思議に思いませんか?
実は、この二柱の神様、神話の上で深いつながりがあるんです。
なんと、大国主神は、本殿の主祭神である素戔嗚尊(スサノオノミコト)の「六世の孫神」(遠い子孫)にあたるそうなんです !
つまり、八坂神社で縁結びを願うことは、スサノオノミコトの血を引く「縁結びのスペシャリスト」に、そのご先祖様(スサノオ)が見守る場所で直接お願いすることになるんですね。これはご利益が期待できそうです!
こうした神様の家系図を知ると、参拝がもっと楽しくなりますよね。
商売繁盛の北向蛭子社

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厄除け、美容、縁結びと来て、次は「商売繁盛」です(笑)。本当に人生のあらゆる願い事が揃っていますよね、八坂神社は 。本殿のご利益にも商売繁昌は含まれていますが、境内にはさらに専門の神様がいらっしゃいます。
商売繁盛のご利益をピンポイントでお願いしたいなら、本殿の西側、大国主社のお隣にある「北向蛭子社(きたむきえびすしゃ)」へお参りしましょう 。
ご祭神は「祇園のえべっさん」
ご祭神は、七福神の一柱としてもお馴染みの「事代主神(ことしろぬしのかみ)」、通称「えびす様」です 。にこやかな笑顔と釣竿、鯛を持った姿でお馴染みの、福の神様ですね。
ここ八坂神社のえびす様は、「祇園のえべっさん」として地元の人々に深く親しまれ、特に商売を営む方々からの信仰が篤いお社です 。
毎年1月9日・10日には新春の恒例行事「蛭子社祭」(初えびす)も行われ、商売繁盛を願う多くの参拝者で大変な賑わいを見せるそうですよ 。このお祭りでは、福笹を手にした福娘や七福神を乗せた「蛭子船巡行」の行列が四条通を練り歩き、「商売繁盛で笹持って来い」の掛け声が響き渡るそうです 。
北向きに建つ重要文化財
このお社、名前の通り、神社建築としてはとても珍しく北向きに建てられているのが大きな特徴です 。なぜ北向きなのかは諸説あるようですが、記録によると中古(平安時代中期~鎌倉時代)以来、「西楼門内、北向きに立つ」とあり、古くから現在地にこの向きで鎮座されていたことがわかります 。
それだけではありません。現在の社殿は、正保3年(1646年)、江戸時代のはじめに建てられたもので、なんと国の「重要文化財」にも指定されている、非常に歴史的価値の高い建物なんです 。商売繁盛のご利益だけでなく、ぜひその建築にも注目してみてくださいね。
メモ
そして、ここでも「神様の家系図」がつながるんですよ。
この、えびす様(事代主神)は、なんと先ほど紹介した縁結びの神・大国主神の「御子神(息子)」にあたるんです 。
つまり、八坂神社の境内には...
【本殿】スサノオノミコト(祖先)
↓
【大国主社】大国主神(子孫)
↓
【蛭子社】事代主神(さらにその子)
...という、壮大な神様のファミリーヒストリーが展開されているんです。こうしたつながりを知ると、参拝がもっと楽しくなりますよね!
事業をされている方はもちろん、お仕事での成功や金運アップを願う方も、ぜひこの「祇園のえべっさん」に力強くお願いしてみてはいかがでしょうか。
芸能上達の太田社
八坂神社が鎮座する「祇園」という土地柄、美容のご利益と並んで、やはり芸能のご利益も欠かせませんよね 。舞妓さんや芸妓さん、そして芸能界で活躍する多くの方々も、八坂神社に篤い信仰を寄せています。
その「芸能・芸事の上達」を専門に司るお社が、この「太田社(おおたしゃ)」です 。美御前社の近く(北側)に鎮座していますので、ぜひあわせて参拝したい場所ですね。
ご祭神はみちひらきの神・猿田彦命
ご祭神は猿田彦命(さるたひこのみこと)です 。
猿田彦命は、日本神話の「天孫降臨(てんそんこうりん)」という非常に重要な場面で登場します。天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が、高天原(天上の世界)から地上(葦原の中つ国)へ降り立つ際、その道案内・先導役を務めたのが、この猿田彦命です。
この神話から、猿田彦命は「みちひらきの神」や「道しるべの神」として、古くから信仰を集めてきました 。そのため「交通安全」の神様として、とても有名です。
道しるべから芸能上達へ
では、なぜ「道しるべ」の神様が「芸能」のご利益につながるのでしょうか?
それは、猿田彦命が示してくださる「道」が、単なる物理的な道だけではないからです。私たちが進むべき人生の道、そして芸事を志す人々にとっては「芸の道」をも切り開き、良い方向へと導いてくださると考えられているんです。
「どの方向に進めば才能が花開くか」「どうすれば芸が上達するか」といった、目に見えない「道」を示し、導いてくださる神様として、「芸能の神様」としても信仰を集めているそうなんですね 。
また、芸能以外にも、学業や就職、起業など、人生の岐路に立った時に「進むべき道」を照らしてくださる、とても心強い神様です。
メモ
ちなみに、先ほどご紹介した「美御前社」のご祭神・宗像三女神、特に市杵島比売命(弁財天と同一視される)も、非常に強力な「芸能」の神様です 。
もし芸能・芸事の上達を強く願うのであれば、この二つのお社はぜひセットでお参りするのが良いかもしれませんね。
- まず「太田社」で、猿田彦命に「進むべき芸の道を拓き、導いてください」とお願いし、
- 次に「美御前社」で、市杵島比売命に「才能が開花し、人前に立つ者としての美しさ(魅力)を授けてください」とお願いする。
こうした具体的な祈願の仕方をイメージしながら参拝すると、より神様とのご縁が深まるかもしれません。
本殿で家内安全や安産も祈願

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ここまで、境内に点在する専門分野の摂社・末社をたくさん紹介してきました。ですが、忘れてはいけないのが、やはり本殿の持つ総合力です 。
最初の章で触れた通り、八坂神社の本殿には、スサノオノミコトだけでなく、妃の櫛稲田姫命(クシナダヒメノミコト)、そして八柱の御子神(ヤハシラノミコガミ)が一緒に祀られています。
この「神様ファミリー」が揃っているからこそ、いただけるとされるご利益があります。
本殿のご利益まとめ
- スサノオノミコト(夫):家族を守る「厄除け」
- 櫛稲田姫命(妻):夫婦の「縁結び」「夫婦和合」、そして母としての「安産」
- 八柱御子神(子):文字通り「子孫繁栄」や「家内安全」
専門的な願い事はそれぞれの境内社でお願いしつつ、家族みんなの幸せや総合的な守護は、まず「本殿」の神様ファミリーにしっかりお願いするのが、一番良い参拝の仕方かなと私は思います。
八坂神社の本殿は、厄除け、縁結び、安産、家内安全...と、私たちの人生の大切な節目をいつも守ってくれる、とても懐の深い場所なんですね。
八坂神社は何の神様?についてのまとめ
ここまで、八坂神社に祀られている神様と、そのご利益について詳しく見てきました。
最後に、「八坂神社は何の神様?」という問いへの答えを、私なりにまとめてみたいと思います。
第一の答えは、やはり本殿の主祭神である「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」です 。八岐大蛇を退治した英雄であり、私たちをあらゆる災厄から守ってくれる、強力な厄除けの神様ですね 。
しかし、その本質をたどると、かつては牛頭天王として祀られ 、祇園祭を通じて1000年以上にわたり都の「疫病退散」という重大な使命を担ってきた 、京都の守護神としての側面が色濃くあります。
そして同時に、八坂神社は驚くほど懐の深いご利益のデパートでもありました。
八坂神社 ご利益 早見表
| 参拝するお社(やしろ) | 主な御祭神(何の神様?) | 主なご利益(何を願う?) |
|---|---|---|
| 本殿(ほんでん) | 素戔嗚尊ファミリー | 厄除、災難除、家内安全、商売繁昌、縁結び(総合) |
| 美御前社(うつくしごぜんしゃ) | 宗像三女神 | 美容祈願、美麗、芸能上達 |
| 大国主社(おおくにぬししゃ) | 大国主神 | 縁結び、恋愛成就、良縁 |
| 疫神社(えきじんじゃ) | 蘇民将来命 | 疫病退散、無病息災 |
| 北向蛭子社(きたむきえびすしゃ) | 事代主神(えびす様) | 商売繁昌(祇園のえべっさん) |
| 悪王子社(あくおうじしゃ) | 素戔嗚尊 荒魂 | 強力な厄除け、災難除け、諸願成就 |
| 太田社(おおたしゃ) | 猿田彦命 | 道しるべ、芸能上達 |
八坂神社に参拝することは、この強力な神々のネットワーク(神様の家族)に、人生のあらゆる局面での守護をお願いすることなんだな、と改めて感じます。
ご利益はあくまでも神様とのご縁の目安ですが、こうした背景を知って参拝すると、また違った気持ちで手を合わせられるかもしれませんね。
正確な情報や最新の祭事については、ぜひ八坂神社の公式サイトなどもご確認の上、お出かけください。
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